ボトックス(ボツリヌス)療法とは、ボツリヌス菌が産生する天然のタンパク質「ボツリヌストキシン」を主原料とした薬を筋肉内に注射する治療方法です。
ボツリヌストキシンは、筋肉が収集する力を抑える作用があり、この筋肉に対する特性を使ったさまざまな治療が行われています。
ボトックス療法による効果は数か月ほど持続しますが、時間の経過とともに効果が薄まり、筋肉が戻ってしまいます。そのため、筋肉の緊張を和らげる状態を持続させるには、継続な治療が必要です。
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通常、片側の顔の筋肉がピクピクとけいれんし続けてしまう病気です。
発症初期では、片方のまぶただけにけいれんが起きますが、しばらくすると、口の周りでもきれんが起きるようになります。顔がゆがむ、顔が引きつるといった変化が起きるといった自覚症状で受診される方もいらっしゃいます。
顔の筋肉をコントロールする神経が、頭の中で血管に刺激されて生じるといわれています。診断には頭部MRI検査を用い、血管の状態などを観察して原因を特定します。
主にボトックス療法、内服治療、手術があります。
「ボトックス治療」は外来診療が可能です。けいれんを起こしている筋肉にボツリヌストキシンを注射すれば数日で効果が現れますが、数か月でその効果は弱まるため、通院して注射を繰り返す必要があります。
手術を行えば完全に治せる可能はあるものの、その際には入院での治療が必要になります。
脳卒中を発症された方は、その後遺症として手足の麻痺が残ることが少なくありません。また、麻痺だけでなく、上肢や下肢の筋肉が緊張状態が続き、手指が握ったままになる、肘がまがった状態で固まってしまう、足が突っ張るといった症状が現れる方もいます。このような状態を「痙縮(けいしゅく)」と呼びます。
痙縮の状態になってしまうと、日常生活で支障をきたすことが多く、治療による改善が必要です。
さまざまな治療法がありますが、それぞれに長所・短所もありますので、症状や患者さんの状態に応じた治療法の選択が大切です。
痙縮の原因となっている筋肉にボツリヌストキシンを注射します。使用できる薬の量には制限があり、ピンポイントで症状が現れている部位に注射し、改善が見られた場合は注射を繰り返していきます。
症状によっては、痙縮が歩行の助けになっていることもあり、そのような場合にはボトックス療法を中止します。数か月で薬の効果はなくなるため、時間がたてば以前の状態に戻ります。